住めばブラジル
日本からブラジルに移住され、ブラジルの社会・環境問題、移民の記録などを録り続けていらっしゃる映像作家の岡村淳氏の「住めばブラジル」。様々な視点からコラムを書いてくださいました。
チョコとウサギのイースター
スーパーのお菓子売り場で。チョコ娘が新発売のタマゴチョコレートの試食をすすめる。
 日本では馴染みの薄いブラジルの国民的行事に、イースター(復活祭、ポルトガル語でPASQOA:パスコア)があります。

 ブラジル国民の9割がクリスチャン。その教祖イエス・キリストの処刑(受難)と復活を記念するのがイースターです。
 カーニバルの日時が毎年違うことは、ちょっとブラジル通な人ならご存知でしょう。そのカーニバルの日時も、この復活祭の日を基準に逆算したものなのです。

 イエスは北半球の春分の日の後の、最初の満月の後の日曜日に復活したといわれています。それに基づいて太陽と月の両方の運行から毎年の復活の日を決めるので、年によって異なるわけです。
 今年の場合は3月27日。
 カーニバルは復活の日の47日前と決められています。


 この時期にブラジルのあちこちで氾濫するのが、タマゴやウサギの形をしたチョコレート。
 キリスト教の復活祭には、もともとヨーロッパでの春の到来を祝う民俗行事もミックスしました。
 タマゴは新しい命のシンボル、ウサギは冬眠からの目覚めと多産のシンボルとされます。それをベースに19世紀になってチョコレートが大量生産されるようになると、誰かが仕掛けたらしいのです。ちょうど昨今の日本のバレンタインデーのチョコレートのように・・・

 誰かさんの仕掛けは大成功。
 それもカカオの原産地のブラジルで!

カトリック教会の祭壇で行なわれるイエスの受難劇。
 今年のイースターの時期にブラジルで生産されたタマゴチョコは約1億個、重量から計算すると国民一人当たりで120グラム相当の量になります。
 サイズもさまざまで、鶏卵クラスの30グラム程度のものから恐竜クラスの5キロのものまで! いちばん飛び交うのが中サイズ、250グラム程度のもの。大手メーカーから手作りの店までが毎年、趣向を凝らしたタマゴチョコを販売します。チョコレート評論家は今回、47個のタマゴを試食したとか。

 復活の日の前々日、イエス受難の金曜日は国民の休日となります。
 この日、テレビではイエス受難をテーマとした映画や劇が放送されます。日本でも昨年、公開されたメル・ギブソン監督の「パッション」はイエスの最後12時間を描いた映画です。拷問によりイエスの体の皮と肉が裂け、血と汗が飛び散るのがリアルに表現され、世界的な話題になりました。
 ブラジルでは今年も復活祭にあわせてリバイバル上映されていますが、昨年の公開時は上映中にショック死する人が複数出るほどの事件となりました。
イエス受難の日の夜。夜の町をイエスの
遺骸像と共にロウソクを持って行列する。
 今年の受難の金曜日、サンパウロ市内でも有名なカトリック教会に行ってみました。正面にある巨大な十字架のイエス像は、紫の布で覆われていました。
 祭壇では、イエスの十字架の道行きをテーマにした劇が信者たちによって演じられています。
 夕方から、等身大の「イエスの遺骸」の像を担いで町内を巡回する行列が始まりました。交通を遮断して、遺骸の後にお祈りを唱えながら大勢の人々が行列に続きます。そして再び教会に戻った遺骸像に直接触れたり口付けをするため、人々は延々と順番を待ち続けます。そこかしこで泣きじゃくる人たち。まさしく壮大な葬式そのもののでした。
イエス受難の日の夕方。イエスの遺骸像が
教会から町に運び出される。
 同じキリスト教に由来するカーニバルやクリスマスでは、うかがうことが難しいブラジル人たちの祈りの姿がありました。
 列に並んで一緒に遺骸像に触れながら、いくらタマゴのチョコレートをかじってもわからないブラジル人の心に触れる思いがしました。

◇◆◇筆者プロフィール◇◆◇

岡村淳(おかむら・じゅん)

1958年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。1982年、日本映像記録センター(牛山純一代表)入社。処女作は日本テレビ『すばらしい世界旅行』の「ナメクジの空中サーカス 廃屋に潜む大群」。以降、ゲテモノおよび中南米の取材を主に担当して、大アマゾンの裸族、ピラニア、ポロロッカ等々を扱う。
1987年、フリーとなり、ブラジルに移民。
フリーの番組ディレクターを経て、1991年、小型ビデオカメラを用いたひとり取材に開眼。ブラジルの社会・環境問題、移民の記録にこだわり、作品をNHK、東京MXテレビ、朝日ニュースターなどの日本のTVメディアで発表。近年は自主制作によるドキュメンタリー作りを続けている。
自主制作の代表作に「郷愁は夢のなかで」(1998年)、「ブラジルの土に生きて」(2000年)、「赤い大地の仲間たち フマニタス25年の歩み」(2002年)、5時間15分の長編「アマゾンの読経」(2004年)など。
作品の上映には制作責任者である岡村の立会いを原則として「ライブ上映会」と呼ばれ、「ひとりでもご覧になりたい方がいればおうかがいする」という方針で、これまで日本、ブラジル、台湾、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オランダでライブ上映会を実施。

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