住めばブラジル
日本からブラジルに移住され、ブラジルの社会・環境問題、移民の記録などを録り続けていらっしゃる映像作家の岡村淳氏の「住めばブラジル」。様々な視点からコラムを書いてくださいました。
移民とたこ焼き
  6月18日
 ブラジルの日系人にとって特別な日です。

 1908年のこの日に、最初の移民船「笠戸丸」がブラジルのサントス港に到着しました。以来、今日までにブラジルに移民として渡った日本人の総数は約24万人。現在はすでに第6世代までが誕生して、ブラジルの日系人の総数はおよそ140万人といわれています。

 この日は「移民の日」としてブラジル各地の日系団体が慰霊祭などの催し物を行ないます。国土の大半が南半球に位置するブラジルの季節は、冬。先人たちの歩みに思いを馳せるのにいい季節です。

 今年は移民の日にちなんで、私も一枚かんでちょっと変わったイベントを行ないました。

 題して「移民とたこ焼き」

ブラジルでキャリアを積んだたこ焼きマンたち。
 サンパウロの近郊都市で、私のドキュメンタリービデオの上映と、友人の写真家によるブラジル移民の写真展を行ない、集まった人たちにたこ焼きを食べてもらおうという企画です。

 ことの発端は、サンパウロの「たこ焼きマン」たちです。
 数年後に迫ったブラジル日本移民100周年に向けて、ブラジル各地の日系人たちと交流を計りたい、とサンパウロに暮らす若い日本人たちが盛り上がりました。メンバーの一人は日本からたこ焼き器を持参していました。よし、各地の日系人たちの集いに出向いてたこ焼きを作って食べてもらいながら親睦を深めよう、ということになったのです。
 メンバーはいずれも「移住」という言葉が死語になってから「自己責任」でブラジルに渡ってきたボヘミアンたち。

地元の日本人会館が久々ににぎわいました。
 さて、実行に移してみると、当地ではたこの入手も一苦労。サンパウロの中央市場まで行って手ごろなたこを探さなければなりません。また一般ブラジル人には、たこはなじみが薄いため、売り場にたこの絵を描いて張り出したり、どうしてもたこはダメという人のために、ソーセージを具にしたりといった努力を重ねてきました。

 そんな試行錯誤を繰り返しながらすでに4年のキャリアを積み、ブラジル各地で行なわれるイベントに出没しています。

ビデオ上映後、たこ焼きをほおばりながらの歓談が続きました。
 私の方は自作のドキュメンタリーをより多くの人たち、特に地方の人たちにご覧いただく機会を願っていました。そうか、たこ焼きの出店のためにイベントが必要なら、岡村作品の上映をイベントとして、観客にたこ焼きを食べてもらおう、ということになったのです。

 上映作品は私の最新作「アマゾンの読経」。アマゾン河で謎の失踪を遂げたある日本人の足跡をたどりながら、埋もれていた移民の秘史を発掘していく、という話です。

 場所はサンパウロ市近郊のジャカレイ市。人口20万人の町に、約200家族の日系人が暮らしています。
 地元の日本人会の会館が会場となりました。かつてはここで日本映画の上映会が行なわれ、日系人たちの大きな娯楽だったといいます。
 集まった人たちはよもやま話に花を咲かせ、子供たちは映画の内容と大人たちの振る舞いから日本文化に触れていきました。

 ビデオの上映と移民の写真の展示、そしてたこ焼きがそんな集いを再現することになったようです。

用意した1000個のたこ焼きはひとつも残りませんでした。
 会場には約70人の日系人の皆さんが参加してくれました。準備したたこ焼きは1000個。生まれて初めてたこ焼きを食べるという人もいます。ご自分の畑で生産している特産品や、自家製カクテルなどを持参してくれた人もいました。冬の午後の上映後の、たこ焼きを囲んだ懇談は盛り上がり続けました。

 なんだかなつかしい、日本の村祭りに来ているような気がしました。こうして私たち日本移民はブラジルを新たな故郷としていくんだな、と感じる移民の日のイベントでした。

→「たこ焼きマンが行く!」ホームページ


◇◆◇筆者プロフィール◇◆◇

岡村淳(おかむら・じゅん)

1958年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。1982年、日本映像記録センター(牛山純一代表)入社。処女作は日本テレビ『すばらしい世界旅行』の「ナメクジの空中サーカス 廃屋に潜む大群」。以降、ゲテモノおよび中南米の取材を主に担当して、大アマゾンの裸族、ピラニア、ポロロッカ等々を扱う。
1987年、フリーとなり、ブラジルに移民。
フリーの番組ディレクターを経て、1991年、小型ビデオカメラを用いたひとり取材に開眼。ブラジルの社会・環境問題、移民の記録にこだわり、作品をNHK、東京MXテレビ、朝日ニュースターなどの日本のTVメディアで発表。近年は自主制作によるドキュメンタリー作りを続けている。
自主制作の代表作に「郷愁は夢のなかで」(1998年)、「ブラジルの土に生きて」(2000年)、「赤い大地の仲間たち フマニタス25年の歩み」(2002年)、5時間15分の長編「アマゾンの読経」(2004年)など。
作品の上映には制作責任者である岡村の立会いを原則として「ライブ上映会」と呼ばれ、「ひとりでもご覧になりたい方がいればおうかがいする」という方針で、これまで日本、ブラジル、台湾、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オランダでライブ上映会を実施。

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