住めばブラジル
日本からブラジルに移住され、ブラジルの社会・環境問題、移民の記録などを録り続けていらっしゃる映像作家の岡村淳氏の「住めばブラジル」。様々な視点からコラムを書いてくださいました。
チエテ川紀行・ブラジルの大地を日帰りクルージング!
 我らがサンパウロに立ち寄ったことのある方の多くは、チエテ川をご存じでしょう。
グアルーリョス国際空港からサンパウロ市内に向かうと、右手の道路沿いにスラム街が見えて来た時、道の左側を流れているのがチエテ川です。雨の少ない時期なら、下水特有の悪臭が鼻を突いたかもしれません。

この川の水は、どこから生まれてどこに行くのでしょう?

 源流はここから東に約100kmの、海岸山脈と呼ばれる山中にあります。この源流地点から大西洋までは、直線でわずか22km。
 しかしこの源は先を急がず、南米大陸をまったりゆっくり迂回して流れていくのです。アマゾン川に次ぐ南米第二の大河・全長4,500kmにおよぶラプラタ川の大支流・パラナ川に合流するまで全長1,136km。そこまでのチエテ川と呼ばれる部分だけで、日本最長の信濃川の約3倍の長さです。
 この水はさらにイグアスーの滝の流れと合流、最後はアルゼンチンとウルグアイの国境地帯でようやく大西洋へと注ぎます。

 さてサンパウロ市内から北西に約270kmほど、このチエテ川を下ったバラ・ボニータの町。この町は、チエテ川の観光名所として知られています。
 日本的な常識では、川の水は上流の方が清明で、下流に行くほど汚染されていくのですが、ここは大陸。サンパウロ市内ではドブ川、死の川だったチエテ川が300km近くも下ってから自然の浄化作用によって魚が住めるようになり、水鳥が飛び交っているというのは、実際に訪れてみないとなかなか信じがたいことです。

一家の運命を託したクルーザー、サン・ディエゴ号
 自分自身の見聞を広めるため、さらに我が子たちの環境教育も兼ねて、バラ・ボニータのチエテ川クルージングに挑戦してみました。このクルージングは、毎週土日に年間を通して行なわれています。
 サンパウロ市内から、南米の大地に車を走らせること約2時間半。延々と続く砂糖キビ畑の彼方にチエテ川が浮かび上がる光景は、これまた大陸ならではダイナミズムです。

 川の水は・・・さすがに飲みたくはなりませんが、あのドブ臭さがないのが不思議です。酸素含有量がゼロに近いサンパウロ市内の汚水が、落差のある早瀬の箇所で酸素を取り込み、さらに微生物の活動でここまで回復するとのことですが、まさしく環境教育の生きた教材です。

料金30レアイスの競争相手とすれ違う
 クルージングの会社が、複数あるとは知りませんでした。チケット売り場に向かおうとすると、2社の客引きが猛烈な攻勢をかけてきます。昼食込みで1社はひとり30レアイス、もうひとつは40レアイス。
 「違いは?」と聞くと船の規模と伝統、食事のクオリティーとか。子供2人を半額にさせるのを条件に、伝統の40レアイス(約2,200円)を奮発しました。時間は午前9時30分からと午後1時からの2回、それぞれ約3時間です。

閘門のあるダムに向かう

 このクルージングの見どころのひとつは、パナマ運河と同様の仕組みで水位を調節する閘門(こうもん)を客船で通過することです。ところがこれは日頃の行ない。岡村ファミリーが訪ねた時は2年に1度の閘門のメンテナンスの時期でした。また行けばいいか。

 船は上流の閘門のあるダムのところでUターン、下流の自然林が残る辺りまで下って港に戻ります。
 かつてはインディオたちが、ついでヨーロッパからのバンデイランテスと呼ばれる奥地探検隊や宣教師たちが往来した水路です。

無免許で操舵する
わが息子
ポルトガル語がわかれば
船長の漫談も楽しみ
 川の両側には牧場に砂糖キビ畑。チエテ川は今日もブラジルの産業の重要な大動脈で、1日300万トンもの農作物や工業製品などが船で輸送されているのです。
 クルーザーが流すカーニバルの音楽と川風を甲板で浴びながら、ブラジルの歴史と今を堪能します。

船内での昼食は料金に込み
 あまり期待もしていなかった船内での昼食がなかなかでした。まずは食前酒のカイピリーニャ(砂糖キビ製の焼酎とライムのカクテル)、これも料金に込み。次いでポテトサラダに魚フライ、肉料理にギリシャ風チャーハン、最後にブラジリアンコーヒー、どれもおかわり自由。ウエイターたちは実に手馴れたもので、テキパキと料理を運んできます。
ランチタイムにはギターの生演奏、乗客のリクエストや出身地の歌を奏でてくれます。

大都市サンパウロから日帰りで、家族そろって知も食も満足できる手ごろな旅でした。日頃の行ないに気をつけて、次回はぜひ閘門を通過したいものです。

◇◆◇筆者プロフィール◇◆◇

岡村淳(おかむら・じゅん)

1958年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。1982年、日本映像記録センター(牛山純一代表)入社。処女作は日本テレビ『すばらしい世界旅行』の「ナメクジの空中サーカス 廃屋に潜む大群」。以降、ゲテモノおよび中南米の取材を主に担当して、大アマゾンの裸族、ピラニア、ポロロッカ等々を扱う。
1987年、フリーとなり、ブラジルに移民。
フリーの番組ディレクターを経て、1991年、小型ビデオカメラを用いたひとり取材に開眼。ブラジルの社会・環境問題、移民の記録にこだわり、作品をNHK、東京MXテレビ、朝日ニュースターなどの日本のTVメディアで発表。近年は自主制作によるドキュメンタリー作りを続けている。
自主制作の代表作に「郷愁は夢のなかで」(1998年)、「ブラジルの土に生きて」(2000年)、「赤い大地の仲間たち フマニタス25年の歩み」(2002年)、5時間15分の長編「アマゾンの読経」(2004年)など。
作品の上映には制作責任者である岡村の立会いを原則として「ライブ上映会」と呼ばれ、「ひとりでもご覧になりたい方がいればおうかがいする」という方針で、これまで日本、ブラジル、台湾、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オランダでライブ上映会を実施。

ブラジルに渡ったドキュメンタリー屋さん 岡村淳のオフレコ日記 にて、毎日更新中。

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