住めばブラジル
日本からブラジルに移住され、ブラジルの社会・環境問題、移民の記録などを録り続けていらっしゃる映像作家の岡村淳氏の「住めばブラジル」。様々な視点からコラムを書いてくださいました。
ブラジル最古の国立公園
イタチアイア紀行
 サンパウロとリオデジャネイロを結ぶドゥットラ街道を、サンパウロからひたすら東、リオデジャネイロ方向へ。
 都市部が途切れてくると、放牧によるハゲ山やグロテスクなユーカリ植林が続きます。次いで、左側に峻険な山地が現れました。

緑と水と岩に包まれて。
緑と水と岩に包まれて。
 ブラジルの公用語・ポルトガル語では山地のことを serra と呼びますが、この単語はノコギリの意味でもあります。まさしくノコギリの歯のようなギザギザの山。
 サンパウロ州、リオデジャネイロ州、ミナスジェライス州の3州に拡がるマンチケイラ山脈の最高峰部は、イタチアイア国立公園に指定されています。イタチアイアとは、先住民のトゥピー語で「とんがりだらけの岩」

 イタチアイア国立公園は、1937年に指定されたブラジル最古の国立公園です。ちなみに第2番目はおなじみイグアスーで、こちらは1939年の指定。
 ブラジルの国立公園は、観光・科学・教育の観点から重要な地域の生態系を守るのが目的で、ブラジル環境院(IBAMA)が管轄して訪問を制限しており、今日では68もの数にのぼっています。

 イタチアイア国立公園には、大西洋森林という世界的にはアマゾン以上に保護の必要が叫ばれている熱帯林が、16世紀のヨーロッパ人到来当時をほうふつさせる姿で残されています。しかも公園内に複数のリゾートホテルもありますので、トレッキングや登山から乗用車での日帰りピクニックまで、体力や予算に合わせた幅広い楽しみ方ができます。

花嫁のベールの滝。渇水期の花嫁。 標高1,100メートルにあるマロンバの池。滝壺は天然プールに。
花嫁のベールの滝。渇水期の花嫁。 標高1,100メートルにあるマロンバの池。滝壺は天然プールに。
 イタチアイア国立公園の面積は約282平方キロメートル、日本の皇居のおよそ245倍。イタチアイアの最高峰、ピコ・ダス・アグーリャス・ネグラス(黒い針の峰)は標高2,791メートル。高山地帯に挑むには登山の装備が必要となります。
 しかし最も人気のある観光スポットのヴェウ・ダス・ノイヴァス(花嫁のベール)の滝までなら、駐車場から小道を約450メートルで落差40メートルの滝を拝むことができます。夏場なら、カンポ・ベロ川に沿ったいくつもの天然のプールで水浴を楽しむことも。

 国立公園の入口で乗用車1台5レアイス(約260円)、1人当たり3レアイス(約160円)の入園料を支払うと、前方には色濃いレイン・フォレストの広がる登り道が続きます。

 おお、さっそく木生(もくせい)シダの群落が!

国立公園ビジターズセンター。国立公園のジオラマ、動物や昆虫の剥製・標本が見もの。 巨大な木生シダを発見。右下が筆者。
国立公園ビジターズセンター。国立公園のジオラマ、動物や昆虫の剥製・標本が見もの。 巨大な木生シダを発見。右下が筆者。
 茎が木の幹と化した高さ7〜8メートルにもおよぶ巨大シダです。さながら中生代の森、気分はジュラシックパーク!
 次いで大西洋森林原産といわれるタケ、そして各種のヤシ。高度を増すにつれて寒冷地に分布するパラナ松(アラウカリア)が。目を凝らせば、そこかしこにランやブロメリアを発見できることでしょう。
ムシキング!ヘラクレスやネプチューンばかりが南米のカブトムシじゃない。
ムシキング!ヘラクレスやネプチューンばかりが南米のカブトムシじゃない。
 さすがに野生生物に簡単にお目にかかれることはありませんが、入口近くにあるビジターズセンターで本来の森の主たちの剥製や標本を見ることができます。

 濃い熱帯林の緑とクリスタルな水、そして岩々。ブラジル本来の大地に抱かれていると全身で感じることができる空間です。

 家族でイタチアイアを半日楽しんで、再び国立公園のゲートを出ると・・・まさに「下界」。
 人手の加わった世界をこんなに醜く感じてしまうとは。自分が都市生活者で、そのうえ自動車も使うという反・自然の立場にいながらそんなことを考えさせる、これも国立公園の環境教育効果かもしれません。

 私が今回、家族でイタチアイアを訪ねたのは7月、冬場とはいえ長期休暇のシーズンでした。それでも公園内は、対向車もまばら。

豊かな自然に抱かれる。
豊かな自然に抱かれる。
 イタチアイアは訪問者数でブラジルの5本の指に入る国立公園です。しかしダントツのイグアスーには年に100万人の観光客が訪れる一方、イタチアイアは年に8万人。
 ブラジルの国立公園はまだまだ宣伝もインフラも不足している、と関係者は言います。お気楽な日帰り観光ではなかなかわかりませんが、木材の不正伐採や密猟、ブラジル名物の味・ヤシの芽(パルミット)の不法伐採、不法建築といった深刻な問題もあるのです。

 まだまだ穴場であるうちに、そして観光客をシャットアウトすることのないうちに、サンパウロとリオデジャネイロという巨大都市に挟まれたこの国立公園の魅力を味わい続けたいものです。


◇◆◇筆者プロフィール◇◆◇

岡村淳(おかむら・じゅん)

1958年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部日本史学専攻卒業。1982年、日本映像記録センター(牛山純一代表)入社。処女作は日本テレビ『すばらしい世界旅行』の「ナメクジの空中サーカス 廃屋に潜む大群」。以降、ゲテモノおよび中南米の取材を主に担当して、大アマゾンの裸族、ピラニア、ポロロッカ等々を扱う。
1987年、フリーとなり、ブラジルに移民。
フリーの番組ディレクターを経て、1991年、小型ビデオカメラを用いたひとり取材に開眼。ブラジルの社会・環境問題、移民の記録にこだわり、作品をNHK、東京MXテレビ、朝日ニュースターなどの日本のTVメディアで発表。近年は自主制作によるドキュメンタリー作りを続けている。
自主制作の代表作に「郷愁は夢のなかで」(1998年)、「ブラジルの土に生きて」(2000年)、「赤い大地の仲間たち フマニタス25年の歩み」(2002年)、5時間15分の長編「アマゾンの読経」(2004年)など。
作品の上映には制作責任者である岡村の立会いを原則として「ライブ上映会」と呼ばれ、「ひとりでもご覧になりたい方がいればおうかがいする」という方針で、これまで日本、ブラジル、台湾、アメリカ、チリ、アルゼンチン、オランダでライブ上映会を実施。
ブラジルに渡ったドキュメンタリー屋さん 岡村淳のオフレコ日記 にて、毎日更新中。

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