マナウスにあるアドウフォ・リスボア市場は、外観がとても美しく、パッと見ただけでは市場とは思えないほどでした。
パリの中央市場を模したといわれるアドウフォ・リスボア市場
市場には、市民の食を支える魚屋さんやお肉屋さんなどがありますが、中央には観光客向けの先住民による手工芸品やピラニアのはく製、木製の置物やお土産になりそうなキーホルダーなど、小さいお店もずらりと並んでいます。
そんな中で私が特に惹かれたのは、ハーブでした。小さな店内にところ狭しと並んだハーブ。乾燥して吊り下げられているもの、朝に収穫したようなフレッシュなもの、鉢に植わったもの、液体に浸かっているもの、石鹸のような固形の物、私には判別ができない筆記体で書かれたお手製シールが貼られた瓶に入っているものなどなど。
見ているだけでも楽しいのですが、やはりお店のおばあちゃんと話すと面白さが増します。
数ある唐辛子の中から「これが一番味が良くて、体にいい」とか、「このハーブは痒みに効く」とか、「これは喉にいい」とか…。所狭しと並べられたハーブを手に取って、ひとつひとつ教えてくれます。
お店もたくさん、ハーブもたくさん並ぶ市場の中
とても楽しくてもっと話していたかったのですが、我が家の子供が飽きてきてしまいました。仕方なく後ろ髪をひかれる思いで買い物を済ませると、ふいに大きなチョコレートの箱が出てきました。好きなのを選んでいいってことかなと、中からクプアス(アマゾンフルーツの一種)のジャムの入った一個選ぶと、なんと、その箱丸ごとプレゼントしてくれました。
チョコレートはそのあたりのお土産屋さんに売っているものと同じで、価格的にはおばあちゃんのお店で買い物した金額の20%分くらいをチョコレートでプレゼントしてくれたことになります。
「気前がいいなぁ」なんて喜んでいたのですが。。。
でも一方で、おばあちゃんの別の顔を私は見てしまったのでした!
体のどこか悪そうなおじさんが店に訪れ、握りしめたお金をおばあちゃんに渡しました。多分常連さんなのでしょう。おばあちゃんはそのおじさんに液体を渡そうとしつつ、受け取ったお金を数えて瓶をひっこめました。どうもお金が足りならしい。おじさんは「半分の量を売ってくれ」と頼んているのに、おばあちゃんは「これはこの瓶でしか売らないと」言ってお金を突き返していました。おじさんは何か言っていたけど、諦めて肩を落として引き返して行きました。私にはあんなにやさしく対応して、気前よくチョコレートまでくれたのに…。
市内には薬局も多く、市販のお薬はたくさんあるけれど、安くはありません。そのためか、今でもこういう民間療法的なハーブの需要がまだまだあるんだなと感じた出来事でした。一方で、なんとなくおばあちゃんが魔法使いのように見えて、ひっそりと心が躍った私でした(笑)。
なお、この市場では、ガラナやアサイーの粉も売っています。固めたガラナの棒を、ピラルクの舌をおろし金のように使って粉末にするという、面白いというか不思議なものも売っていますので、話のネタにお一つにどうぞ。
さて、マナウスまできたら、やはりアマゾンの川魚(淡水魚)料理を食べたいですよね。
市場にはレストランがあり、私はトゥクナレという魚のフライを食べました。付け合わせにはフェイジョン豆の入ったご飯。どうやらここの地方のご飯の定番は、このお豆入りご飯のようです。栄養満点、美味しかったです。
淡水魚トゥクナレのフライ。右奥のBareは地元のガラナ飲料
タンバキという魚も食べました。実はこれ、水族館で見たことがあり、「あの黒くて平べったいお魚よね」と想像しながら、食べました。脂がのっていて、とてもおいしい魚です。他にもピラルクも人気の魚ですし、マナウスの空港でもお土産用に買うことができます。
日系人が経営するレストランでは、お刺身で食べることができる川魚があると聞きましたが、ブラジルでは一般的には、フライにするかグリルかですね。私は、市場で食べたトゥクナレがとても美味しかったです。
マナウスに来たら、ぜひアマゾン川やジャングルだけでなく、街も楽しんでくださいね!
執筆:パウラ
<プロフィール>
港町出身、サンパウロ在住の二児の母。サンパウロ駐在は2回目ながら、ポルトガル語が一向にうまくならないことに自分の限界を感じつつ、それを認めたくない40代。国が違えばいろいろなことがありますが、ブラジルのいいところを見て、心に残しておきたいと思っています。